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二次創作はアリかナシか?権利者の本音と建前を考える

二次創作という、既存の作品の設定やデザインをそのまま継承しつつ行う創作がある。

 

対して一次創作というものはいわゆる「オリジナル作品」であり、作家の中でも昔から賛否両論があるようだ。

 

二次創作は(権利者が公に了承していない場合)法律的に見ればアウトであるが、親告罪故に「権利者が何も言わねーなら暗黙の了解ってことだろ、権利者でもない奴らが騒ぐな!」という話に落ち着いている。

 

 

膨大に生まれる作品の中で勝ち残るための戦略的シカト

権利者目線から見ると、赤の他人が勝手にブートレグしてくれることには良し悪しある。

特に美味しいのはその拡散効果だ。

 

一般的にコンテンツを認知させようとすれば時間も広告費もかかるが、二次創作を開放して他人が拡散させてくれればその恩恵は計り知れない。

 

絵師に仕事を発注するのは金がかかるが、絵師が自発的に同人誌を描いてくれればタダである。

 

そのため公に二次創作が自由であることを周知したい権利者も多くいるだろう。反面「他人の褌(ふんどし)で相撲を取り横綱になってしまう存在」がいることは看過できないのだ。

 

二次創作が拡散の一助になっているとはいえ、元々の水準まで認知を押し上げたのは権利者の努力や初期から買い支えたファンの功績である。

 

二次創作をやる人の中には「二次創作だとアクセスを得やすい」といった自身のファン獲得目的でトレンドに合わせて節操無く二次創作に取り組む人もいる。

(流行に合わせて二次創作対象を乗り換えていくという意味)

 

故に推し活の延長ではなく「ビジネスかつ自分の成功のための踏み台」として取り組む作家もいるのだが、それらの見分けはつけようがない。

 

自身の成功のため狡猾に立ち回っているのか「いちファンとして純粋に飽きたから違う作品に乗り換えたのか?」は本人のみぞ知るところだからだ。

 

また、最初はファンとして取り組んでいた人間も、チヤホヤされると自身の成功を夢見る。1人の人間にあらゆる願望が渦巻いている。

 

 

他にも下記などは問題だ。

  • 二次創作でエロ同人を作成し、看過できない売り上げを叩き出す
  • 二次創作の思想や主張が原作以上に人気を得てしまう

 

権利者からすれば「それはちょっと待てよ!想定外だ!」という話であり、事の次第によっては訴訟を検討する必要も出てくるだろう。

 

故に「不届な輩を叩き潰す際に自分たちが不利にならない状態でいる。しかし一般的な範疇での二次創作による拡散はオイシイから戦略的にシカトしとくよ♪」というのが権利者の本音であろう。

(※これはあくまで筆者の想像である)

 

 

「明確なガイドラインを作れよ!」という声もありそうだが、ガイドラインはある意味では「判断基準の証拠を完全に残すこと」でもある。

 

ガイドラインの穴を突いて想定外のことをやらかす奴もいるだろうし、それを改訂する手間、ガイドラインを見て逐一問い合わせてくるウザい奴らの対応諸々が面倒なのだろう。

 

なにより「なぁなぁで曖昧なまま放置する」が日本の姿なのだ。(良くも悪くも)

 

 

二次創作を叩きたい人は「法的措置を検討すべき理由」に値する作家や現状を権利者へプレゼンするべきである

これは書くべきか迷ったが、二次創作を叩きたい人向けに筆者の考えを書く。

 

前述した戦略的シカトが正しければ、権利者的には「雑魚を相手にする気はない、看過できないレベルの奴は潰すけど」という方針でいるだろう。

 

ちなみに税務署も、脱税額が小さい奴は捕まえても重加算税ぶん取れないので「雑魚は相手にしない方針である」みたいな話を聞いたことがある。

(※税務署から聞いた話ではない。税務関係に携わっていた人から聞いた話である。)

 

 

たまにイベント売り上げが好調だったのか「確定申告どうしよ、税理士頼まないとダメかな」とか思わせぶり自慢ともとれる発言をSNSでする作家がいる、

9割がた、彼らは自分で調べて申告すれば済む程度の売り上げである。税理士など必要ない。

 

税務署が監視するレベルで売り上げるような輩はそういう「思わせぶり自慢」はしない傾向にあるので、覚えておくといい。

 

 

金をぶん取るなら金持ちからが鉄則だ。雑魚を相手にしてもしょうがないのだ。

 

二次創作に嫌悪があるなら「それで荒稼ぎしている個人」を権利者や国税に情報提供するような行動のほうが有意義ではないだろうか。

 

大人の都合で立ち回るなら、子供がワイワイ遊んでるような二次創作に目くじら立てるほうが滑稽であるとも言える。

 

現状、二次創作で注視すべき要素といえば下記だろう。

  • エロ
  • 生成AI
  • ネット販売

 

 

作家による「はしごの掛け替え戦略」としての二次創作

  1. 二次創作をやる
  2. 注目される・ファンが集まる
  3. 一次創作を発表する
  4. ファンが拡散してくれる
  5. 儲かる(作家としての地位を確立する。一次創作なので権利的にもクリア)

 

これは絵の世界のみならず音楽の世界でも多分にある戦略だ。

 

ストリートミュージシャンが「みんなが知ってる有名曲」を歌って客寄せした後に、オリジナルソングを歌うといったものと同様である。

 

一部ピアノ系ユーチューバーに至っては120%これを使い、一次創作に掛け替えなんかしないで広告収入で稼ぎ切るというショートカット猛者もいる。

 

 

あらゆる創作において、有名になるための足掛かりとして「すでに有名であるもの」を踏み台にしなければどうにも見向きされない現状が確かに存在している。

 

 

「そんなの卑怯だ」と思う人もいるかもしれないが、この「はしごの掛け替え手法」にも欠点がある。

 

それは「掛け替える前に単独で魅力的にならないと、掛け替えた瞬間に人が離れる」という点である。

 

ある意味で二次創作によるアクセスは「既存コンテンツというジャンルに属したというお情け(ぶら下がり)のアクセス」なのだ。

 

 

そこから先で掛け替えを考えるのであれば、本人の見せ方や実力が如実に問われる。

 

だからぬるま湯の二次創作が楽しいという人があとを絶たない。

二次創作は純粋な原作ファンコミュニティが根っこにある以上、どうあがいても評価されやすいのだ。反応があるから楽しく感じるだろう。それが馴れ合いの根本である。

 

 

よく「二次創作から原作にハマった」という人もいるが、それは原作の設定やデザインが秀逸であるためだ。

 

もし、それが二次創作者本人の実力であるなら、その人の一次創作もかなり評価が高くなるだろう。

 

そうは問屋が卸さないのは一次創作が「どれだけ大変か」ということである。

 

 

二次創作をやるなら自身の「作家としての展望」と天秤にかける

ファン同士で馴れ合って創作を趣味にしていきたいなら二次創作をずっと続ければいいし、現実で利益が数百万レベルで出てないならわざわざ権利者も叩き潰しにはこないだろう。

 

しかし「今後プロとして活躍したい、権利を持つ側になりたい」と思うなら二次創作ばかりやっていても仕方がない。これは誰が見ても一目瞭然だ。

 

また、二次創作だけに年月を費やし過ぎるといよいよ一次創作者としての道は閉ざされる。

 

自身の習慣的思考はもちろん、取り巻きも「このコンテンツの二次創作をやる人」というイメージの固定が顕著になるだろう。

 

 

恋愛における「もうあなたは友達にしか見れない」と似ている。

積み上げたように見えて、何も積み上がってはいなかったのだ。