へのへのもへじ

偉そうに思う事を書くだけ

漫画業界は終了?漫画家が生き残るためには?国内だけを見てるのが一番やばい。


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元漫画家Youtuberのペガサスハイド氏がこのような動画を投稿した。

 

内容的には自分が運営するペガサス大学への勧誘動画であるのだが「日本の漫画業界が終わりかけている」という問題提起とともに、その解決策の一部として自ら運営するペガサス大学(オンラインスクール)への集客を図っているような感じだ。

 

 

まず前提として筆者はペガサスハイド氏の主張にはほぼ同感だ。

しかし、それが悪いことばかりかどうか?というと疑問が残る。

 

動画内で触れられる問題点は3つだ。これらについて筆者が個別に思うことを書こうと思う。

  1. 編集者のレベルの低下
  2. 漫画家のレベルの低下
  3. 読者のレベルの低下

 

 

 

①編集者のレベルの低下

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これは本が好きでよく大型書店に足を運ぶ身としてはよくわかる。

 

というより、世間の価値観は以前に増して「アクセス至上主義」になったと筆者個人としては実感せざる得ない。

 

 

例えるならば、昔はよく「ダイヤの原石」「磨けば光る」という投資的な視点の言葉があった。いまはめっきり聞かなくなった。

 

自らのプライドと目利きで「ダイヤの原石を見つける」のが過去の編集者の仕事であるなら、現代の編集者は「SNSでバズってる奴らに声をかけて雑誌に起用、あるいは商業出版に乗せる」といった所ではないか?

 

その根拠として、書店に並ぶ本の表紙や帯には「SNSフォロワー累計○○万人!!」みたいな煽りコピーが目立つ。

これから売れると見込んで原石をプッシュするならこんなコピーは入れられない。

 

 

これは漫画(書籍)のみならず、音楽もそうだし、大衆芸能がそうなってしまっている。

テレビも昔は素人企画からのし上がる道があったが、いまはネットで目立つ人がいればテレビに逆輸入なんてことも増えた。

 

音楽もアーティストの原石を見つけるのではなく「ネットですでに人気になってるアーティストにオファーをしメジャーデビュー」という道が売り上げ的にも目処が立ちやすいし簡単である。

 

およそこのサイクルであれば失敗がない。というか「大衆にとって編集者の目利き自体が不要である」という現実を暗に示している。

 

まるで「お前にトレンドを作る権限などない」と言っているかのようだ。

 

こんな現実を作ったのはどこのだれなのか?

それが次の問題だ。

 

 

 

②漫画家のレベルの低下

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ペガサスハイド氏はパソコンが制作のメインを張るずっと前から漫画を描いてきた人である。

「デジタルで誤魔化せない描画の技術」が確立されている故に現代の漫画家のレベル低下は嘆かわしいことだと思う。

 

IT化はどの業界にも多大な影響を与えて今日に至る。

昔は数百万していたパソコンも今や数万円で買えるし、制作ソフトだって無料のものが増えた。

 

なんなら「スマホ1台でここまでできる」とか言い始める始末だ。

 

素材サイトやテンプレートも増えて「0から生み出す必要がない」というのが現代のクリエイティブといえる。

 

レベル低下の元凶を言えば明らかに「インターネットとデジタル機器の浸透」であり、これらのおかげで参入障壁が下がったというメリットの裏返しでもある。

 

動画のコメント欄には「粗製濫造」だなんて辛辣な表現もあったが、昔であれば「こんなゴミ見せんなぶっ殺すぞ」と言われかねない駄作中の駄作が山ほどネットに溢れるようになったのは事実だ。

 

 

とはいえ、デジタル表現において確かなクオリティを発揮するクリエイターや漫画家も多数いる。

彼らはアナログ表現の世界でも輝いていたか?と言われるとまたわからない所ではある。

 

むしろインターネットが浸透する以前からも至るところで「粗製濫造」は盛んだったものの、見せる場所が限られていた。(それこそ昔の商業臭くない同人イベントでオタク同士の交流として)

 

ネットがそれらを可視化しただけとも言える。

絵を描くと言う行為の参入障壁は限りなく低い(鉛筆と紙があればできるのだから)

 

故にインターネットとデジタル化の浸透は「世界への参入障壁を下げた」と言えるだろう。

 

「自分なんて無理だよ」と地方で行動せず諦めて終わった人間もSNSに上げてワンチャン狙う時代なのだ。それで一発当てた人もいるのだから、尚更盛り上がる。

 

また、ネットによりあらゆる情報が流れ、個人でマーケティングブランディングをしたり、ファンの分析をする手法が知れ渡ってしまったことも大きいだろう。

 

 

 

③読者のレベルの低下

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実際に読者のレベル低下はあるのかもしれない。しかし、そういう主張の前に下記の可能性を考慮する必要がある。

 

どの業界も元々の居場所にいた人たちが現状に苦言を呈するというものだ。

 

  • 純文学・小説愛好者→ライトノベルはクソだ、文章表現もクソだし情緒のカケラもねぇ笑
  • クラシック音楽愛好者→大衆音楽はクソだ。アイドルのツラで評価されてるだけ笑
  • 生演奏愛好者→何がDTMだ、打ち込みでポチポチやってグルーヴだぁ?ふざけんな!

 

Youtuberが流行り始めた2015年頃にはこんなこともあった。

 

芸人やテレビマン→Youtuberはクソだ。素人が雑な企画やお笑いやりやがって!俺たちの仕事をナメんな!

 

しかし、今やテレビで活躍する芸人もYoutuberとなり、スルスルと取り込まれて今に至る。

 

 

往々にしてプロや愛好家はレベルを求めすぎて素人の立場を見失う。

自分の存在を確立するものが技術や熱量である故に「半端なもの」でのし上がる奴らを許せないのは当然の感情ではある。

 

しかし「素人はそこまで求めていない」という現実も見ないと永遠に「受け手のレベルが下がった」「あんなもので満足してるとか人間も退化したな」などと愚痴を吐き続ける人生で終わる。

 

 

そして、②で書いたデジタル世代の新参クリエイター側が「別に神ほど上手くなくてもチヤホヤされるし、金も稼げるじゃん」という事実に気がついてしまった。

 

なんならさほど作品が上手くなくても違うところに魅力がありSNSでフォロワーを獲得し影響力を持つことができれば出版社が声をかけてきて商業ルートに乗る(①の問題)こともできる。

 

編集者や出版社が目利きをして選んでいる時代は純粋に「作品のクオリティ」を求めることができた。

個人が直接発信できるようになると、作品以外の要素(作者のルックスや喋りの面白さetc)までもを推し要素に含めたり、もともと違う畑にいた人がハシゴを架け替えて参入することも容易になった。

 

故にこれら3つの問題は互いに補完し合いながら現在までやってきているし、ガッチリとスクラムを組んでいる以上この流れは止まらない。

 

「最後にそれを破壊するのがAIである」という見方もできそうだが、現状はまだ起こりそうにない。

 

 

「大衆は必ずしも圧倒的なクオリティだけを求めている訳ではない」という事実は絶対に押さえておかなければならない。

 

例えば「ワシが育てた願望」のある人はあえて未完成品に入れ込む。インディーズバンドや地下アイドル、クラファンなどもそうだ。

ホストやキャバをNo.1にするために大金を費やす行為もまた「私がそこに関わっている実感」からくるものだろう。

 

 

かなり抽象的な捉え方をすると「人間は寂しさを埋めたい」のだと考える。

一方的に与えられるだけではやはり物足りなさを感じるものだ。

「愛はくれないけど金ならいくらでもくれる親」のようだ。

 

漫画、音楽、あらゆるクリエティブはつまるところ「寂しさを埋められるか?」という視点で見るのもいいかもしれない。

 

 

実際、創作をやる側も「創作そのものが寂しさを埋める行為」であることは多い。

本来、その成果物で人が集まってきたら既にゴールなのである。

 

それが「いくら稼いだ」とか「あいつよりフォロワーが少ない」といった視点に思考を乗っ取られるから「あいつは大して上手くもないのにムカつく」などという話になってくる。

 

 

 

本当に読者レベルが低下していると思うなら

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プロやそれに準ずる愛好家の目が肥えすぎという主張をしたが、それでもなお「本当に読者のレベルが下がってるよ!」と思う場合、それは日本の教育の問題である。

 

教育や政治の世界に行って根本から変える必要がある。

 

「半端な創作に反応しない感性や知性」をいまの子供たちに伝え醸成するということだ。

 

 

そうすればSNSに蔓延る多くのクリエイターは淘汰され、真に残るべき作品だけが出版社の目に留まり、それが商業ルートに乗り厳しい目を持った大衆の心を・・・

 

満足させるだろうか?????

 

 

筆者はいまより遥かに息苦しい「批判・罵倒社会」が完成するように思う。なぜなら上を見るとキリがないからだ。

 

プロや目の肥えた愛好家が一般人と乖離するのは「上を求めすぎる」ことにある。

変な話、下が溢れているから「駄作が多い!レベルが低い!」なんて嘆いていられることに感謝しないといけない。

 

高級ホテルやレストランのハイレベルな接客を24時間365日、家族含め誰からもそのような対応をされる日常を考えてみてほしい。

 

おそらく息が詰まって発狂するだろう。もっとフランクで雑な人間に居心地の良さを感じるはずだ。

 

 

物事は陰陽であるように「低レベルがあるから高レベルが際立つ」のだ。

世の中がみんな美人・イケメンだらけになったらそこに価値など付かないのと一緒だ。

 

そこかしこが高レベルだらけになったら、宝探しはできない。

あるいは低レベルなものが希少であるとして宝になる。

 

 

こんな時代で漫画家が生き残るためには?

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そもそも昔なら生き残れたのか?という話でもある。

 

見方によっては今の方が間口が世界にまで広がって、チャンス自体は増えたともいえる。

 

 

生き残りの定義が「それで満足に生活できる収入を得ること」なら、昔より遥かに膨大な作品がリリースされる今は難しいかもしれない。

 

加えて、読み放題で無料作品なども増えそれで満足する層が出たことも指摘される。

ただ、昔から「漫画の貸し借り・立ち読み」はあった訳だし、金を落とさない人は何が変わろうが落とさないものだ。

 

 

しかし、インターネットが与えた明らかな変化は「個人に直接、海外からのアクセスがある」という点だ。

 

今までは「日本でウケた作品を翻訳して海外展開する」なんて流れだったが、それが「個人の作品が直接海外に流れる、流せる(合法・違法含め)」のだ。

 

 

故に昔のような「日本だけを相手にしていればいい」という姿勢のみならず「むしろ日本を見ずに世界を攻める」という姿勢も出てきた。

 

 

故に、筆者個人としては「日本ならではの精密さや精神性、情緒表現を世界に直接発信すべき」だと思っているし、それは漫画家やそのほかのクリエイターにとっても「生き残りとしての選択肢の一つ」だと考えている。

 

 

そのために日本のクリエイターに言いたいこととしては言語はもちろん「正しい歴史や政治情勢・宗教観を学ぶべき」ということだ。

日本のテレビやマスコミの偏向報道で歪んだ価値観や物の見方を変えなければいけない。

 

 

世界に理解や共感を得る上で「日本にそんな文化ないし!知らない!」では通用しない。

他国の宗教観や文化を理解した上で「日本の感性との違いや独自の切れ味」を提示することが出来たなら、日本人はより海外からもより多くの理解や共感を得て、さらにお金を稼ぐことができる。

 

 

 

そもそも考えてみてほしい、全世界に繋がるインターネットが生まれて久しいにも関わらず、日本のクリエイターはいつまで日本国内ばかり見ているのか。

 

もちろん「別に俺らは海外で売れたい訳じゃねーし」と思う人もいるだろう。

インターネットが浸透した今でも、国内の少ないパイを取り合う競争に混じって消耗する道を選ぶのは個人の自由だ。

 

ただ、日本にこだわって何の戦果も得られなかったからといって中年になってからグチグチ言うのはみっともないのでやめて欲しいと思う。

 

 

 

世の中は「生きてくために働いてるんだよ。別に好きな仕事ではねーよ。」という人が圧倒的に多いのだ。

 

クリエイターとして生き残り続けるということ自体が奇跡レベルだというのに、国内に固執していること自体が「甘えんなカス」という話でもある。

 

ペガサスハイド氏だって、現在の大御所漫画家のようにずっと漫画で生きていく道があったならそれを選んでいるはずだ。

若かりし頃に実績を残したものの、道半ばで方針転換を余儀なくされ、かつ生きていくために専門学校の講師をしたり、Youtuberとしてやっている訳だ。

 

海外から日本に出稼ぎにくる外国人は「世界的にみれば使い道がほぼない割に難解な日本語」をわざわざ覚え、海を超えてやってくる。

生き残るためには今より割の良い仕事に就こうとそういう努力を惜しまない。

 

 

 

隣の国は狙って当てている。

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両者は偶然ではない。狙ってやっているのだ。

もう中国人は韓国人はわかっている。

 

 

「日本人が世界に出て行かないならお前らの文化の良いとこ俺らが奪うけど、それでもどうせあんたら「エイゴワカリマセーン」で国内で引きこもってんでしょ?笑

近い将来はメイドインチャイナのアニメや漫画でブヒブヒさせてやるから待っててな!ちゃんと日本語版も作ってやるから笑」

 

という具合だろう。