最近ネットで「これと何かを交換してくれる人募集」なんてわらしべ長者的な書き込みを見て思い出した。
学生の頃、古着好きの先輩から「この帽子となんか交換しない?」と話を持ちかけられたことがある。
先輩は「なんでもいいよ」と言っていたが、100%その帽子より価値のあるものを欲しているのが透けて見えた。
カウボーイハットみたいな帽子だったが、どう見ても古着屋で数百円で買ったような見た目であり、筆者は1ミリも欲しいと思わなかったので断って逃げた。
その先輩の家には、かの有名なアから始まるMLMビジネスで有名な会社の製品がたくさんあった。
きっとあの手の業界ではわらしべ長者的なサクセスストーリーを実例に挙げ「君もいますぐやってみよう!行動が大切だ!」とか言っているのかもしれない。
他にも何かとその手の話を持ちかけてきた輩はいたが、どうもマルチ信者は「物々交換チャレンジ」をする傾向にあるようだ。
しかし「わらしべ長者」の話を知っている人からすれば「あれは偶然手持ちの品を強く必要としている人と出会ったから、交換することで価値が増えていく流れになったんだよ」と思うだろう。
その通りなのだ。
需要を考えずにただ他人に交換を要求しても長者になどなれない。
そこらへんにいる知り合いに「⚪︎⚪︎と何か交換しない?」なんて意味不明な交渉の果てに得られるモノなんぞトラブルしかないだろう。
手持ちの品を欲しがりそうな知り合いをリサーチした上で動くならまだわかるが。
こんなこと、乞食でもやらない。
あれから10年以上経ったが、その先輩は長者にはなっていない。いまだに売れないバンドマンみたいな生活をしているようだ。